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アニメーション作家・山村浩二さん、奥沢に「短編アニメーション専門店」出店

現代の「ムービー」の原点といわれ、店名の由来でもある仏製「プラクシノスコープ」も展示。円筒を回転させると中央の12枚の鏡に映った絵が動いて見える

現代の「ムービー」の原点といわれ、店名の由来でもある仏製「プラクシノスコープ」も展示。円筒を回転させると中央の12枚の鏡に映った絵が動いて見える

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 奥沢の住宅街に短編アニメーション専門店「Au Praxinoscope(オープラクシノスコープ)」(世田谷区奥沢7、TEL 03-6809-8153)がオープンして2カ月が過ぎた。

店内にはフリップブックやゾートロープなど気軽に楽しめる「視覚玩具」も数多くそろえる

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 日本を代表するアニメーション作家・山村浩二さんが、自身のアトリエに併設する形で開いた同店。長年アニメーション制作に携わり、国内外の映画祭などで多くの作品を見てきた山村さんの視点でセレクトした「世界の短編アニメーション作品」を取り扱う。

 山村さんは1964(昭和39)年名古屋市生まれ。東京造形大学絵画科卒業。代表作「頭山」(2002年)は、アニメーション界で世界最高峰とされる「アヌシー国際アニメーション映画祭」をはじめ世界の主要アニメーション映画祭で6つのグランプリを受賞。第75回アカデミー賞短編アニメーション部門では、同作品で日本人初となる正式ノミネートを受けた。代表作には「カロとピヨブプト」(1993年)、「カフカ 田舎医者」(2007年)などがあり、これまで国内外の受賞は80を超える。

 同店で扱う短編アニメーションは、主に各国の映画祭などの規約から「上映時間が30分以下」「フレームごとに制作された映像」が当てはまり、作品の技法は人形や立体、人物をコマ撮りしたもの、CGなど多岐にわたるという。「多くの作品が実験性に富み、『動く絵』としての時間軸を伴った視覚芸術としての魅力を持っている」のが特徴。

 店舗面積は約18平方メートル。店内には、カナダや旧共産国の国立スタジオ、国内外の独立系スタジオ、大学などの教育機関で制作されたアニメーション作品ソフト(DVD=2,000円~3,000円台)を中心に、「フリップブック(パラパラまんが)」(500円~)、回転させてスリットからのぞくと絵が動いて見える「ゾートロープ」など気軽に楽しめる視覚玩具やアイテムもそろえる。

 アニメーション関連書籍や海外の研究論文など「日本では入手が難しい」専門書も数多く取りそろえる同店。山村さんは現在、東京芸術大学大学院映像研究科ほかで教鞭(きょうべん)も執っていることから、アニメーションや映像専攻の学生をはじめ、アニメーション関係・広告関係のクリエーターなど「遠方から足を運ぶ」利用客も多く見られるという。

 そのほか、国内外で活躍するアニメーション作家を紹介する小規模な企画展も3~4カ月単位で展開。現在は、エストニアを代表するアニメーション作家「プリート・パルン展」を開催中で、アニメ作品のためのドローイングやオリジナル原画などを展示、作品の販売も行っている。

 「アニメーションの面白さはさまざまだが、とても深い精神性と造形的魅力を持った世界が広がっている。これまで見たことのないアニメーション映像との出合いがここでありますように」と山村さん。

 営業時間は12時~19時。営業は土曜日のみ。「プリート・パルン展」は来年1月25日まで。

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