自由が丘に世界の染織品集めた「テキスタイルミュージアム」

(写真右から)キリギスタンのフェルト、アフガンの荷ひもやラクダの首飾り、イランの敷物、グルジアの民族衣装、アフガニスタンの族長や牧童のコートなど

(写真右から)キリギスタンのフェルト、アフガンの荷ひもやラクダの首飾り、イランの敷物、グルジアの民族衣装、アフガニスタンの族長や牧童のコートなど

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 世界各地の染織品を集めた個人美術館「岩立フォークテキスタイルミュージアム」(目黒区自由が丘1、TEL 03-3718-2461)が11月3日に開館し、現在「第1回展 毛織物展~フェルトから始まったテキスタイル~」が開催されている。

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 同館は、民族染織研究家の岩立広子さんが40年以上にわたってアジアをメーンに世界各地を訪ね、収集してきた民族衣装などの染織品約7,500点を所蔵。中でも1970年より毎年渡航して村々を巡り収集したインド全域のテキスタイルコレクションは約4,000点にも及ぶ。

 これまでも収集品の一部は、岩立さんが経営してきたギャラリー「カディ岩立」を中心に公開していた。今回、同所を展示室として改装し個人美術館としてスタートしたのは「世界の急激な変化を感じたから」だと話す。

 「民族紛争や急速な近代化などの影響で、わたしが一生かけて集めてきた『手仕事』が各地から消え、今や二度と手に入らなくなってしまったものも多い。失われてしまった文化を皆さんにお見せしたい、集めたものを人類の共有財産として次の世代へと伝えていかなくては。それが現地の人々や風土、布が生まれた過程を知る証人としてのわたしの務めだと考えた」(岩立さん)。

 開催中の企画展では、最初に人類の身を守った「毛織物」にスポットを当ててテキスタイルの原点を紹介する。チュニジア、モロッコ、グルジア、トルコなど世界各地の染織品約100点を展示。

 中でもひときわ目を引くオレンジ色の布は、イラクのアラブ族が婚礼に作り上げた総刺しゅうの敷物で、現地の自然や動物の姿が文様として織り込まれている。そのほかフェルト地に刺しゅうを施したアフガニスタンの族長のコートやパシュミナ山羊の羊毛を使ったインド・カシミールのショールやコート、各地の民族衣装や敷物などが並ぶ。

 「こうした手仕事には人の温かさがあり、見ているだけで幸せな気持ちになる。きっと日本人のDNAの中には、こうした布の持つパワーに触れる喜びや心の豊かさがあるように思う。自分のルーツは世界中にある、そんな衣装の文化を身近に感じてほしい」と岩立さん。今後は、約2~3カ月間隔で展示内容を企画し、ギャラリートークなども開く予定。

 開館時間は10時~17時(入館は16時30分まで)。日曜~水曜休館。入館料は300円。同展は来年1月30日まで(12月20日~1月6日は休館)。

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