コールセンター・バックオフィス(事務処理センター)の構築・運営を行うセコムグループの株式会社TMJ(本社:東京都新宿区、代表取締役社長執行役員:丸山 英毅、以下TMJ)は、自社のコンタクトセンターに勤める従業員313名を対象に調査を実施し、「カスタマーハラスメントの現状と対策に関する調査レポート」を公開しましたので、お知らせいたします。
調査の結果、コンタクトセンターに従事する業務で受けたカスタマーハラスメント(以下省略:カスハラ)において、最も多かった被害は「暴言・怒声」でした。中でもカスハラ被害を経験された時に、少しでも「ストレスを感じた」ことがある従業員は9割(90%)もいることが判明。また、お客様による“無理な要求”や“勘違い”からカスハラ化するきっかけになる傾向も明らかになりました。現状、これらのカスハラへの対応方法としては、話を聞き続けたり、毅然と対応することでその場を乗り切ったという回答が多く、今後、カスハラへの必要な措置として、「法律・条例による防止」や「消費者への啓蒙活動」が必要だと多くの社員が考えています。
調査結果サマリー
TOPICS 1:カスハラの現状
コンタクトセンターに従事する業務において、最も多かったカスハラ被害は「暴言・怒声」(83%)
カスハラ被害を受けた社員の9割(90%)がなんらかの「ストレスを感じた」と回答
TOPICS 2:カスハラが発生するきっかけと対応策について
カスハラが起きたきっかけとして、お客様からの“無理な要求”や“勘違い”が多い傾向に
カスハラへの対応策は、「話を聞き続けた。」が1位(63%)
“毅然な対応”や“謝り続ける”という個人の負担が大きい回答も多い結果に
TOPICS 3:カスハラへの必要な措置とは
必要な措置は「法律・条例による防止」がトップ(68%)
個別の対応策ではなく、“ルール”や“仕組みづくり”など、社会全体や組織としての措置重要性を挙げる傾向に
調査概要
※本リリース内容の転載にあたりましては、出典として「日本コンタクトセンター協会調べ」という表記をお使い頂けますようお願い申し上げます。
●調査対象 株式会社TMJ社員のオペレーター|313名
●調査期間 2024年7月31日(水)~8月30日(金)
●調査方法 アンケート調査
※図表の構成比(%)は小数点第2位以下を四捨五入しています。
TOPIC 1 カスハラの現状について
■コンタクトセンター業務でに受けたカスハラの中で最も多かった被害は「暴言・怒声」(83%)
■カスハラ被害を受けた従業員の9割(90%)がなんらかの「ストレスを感じた」と回答
調査の結果、コンタクトセンターの従業員が業務中に受けたカスハラ被害で最も多かったことは「暴言・怒声」(83%)という結果に。2位は「長時間拘束」(72%)、3位は「クレームの過剰な繰り返し」(69%)となりました。これは、顧客からの不適切な発言や高圧的な態度が、従業員に直接的な心理的負担を与えていることを示しています。また、こうしたカスハラ被害を経験した従業員の9割(90%)がなんらかの「ストレスを感じた」と回答しており、カスハラが従業員に与える影響は小さくないことが浮き彫りとなりました。
TOPIC 2 カスハラが起きたきっかけと対応策について
■カスハラが起きたきっかけとして、お客様からの“無理な要求”や“勘違い”が多い傾向に
■カスハラへの対応策は、「話を聞き続けた。」が1位(63%)
“毅然な対応”や“謝り続ける”という個人の負担が大きい回答も多い結果に
カスハラが発生した主なきっかけとして、第1位「お客様からの無理な要求」(68%)、同率2位「お客様の勘違い」と「従業員の接客態度・言葉遣い」(49%)となりました。「無理な要求」には、現実的に対応困難な要望や過剰要求が含まれ、従業員に過度な負担を強いるケースが挙げられます。また「勘違い」では、商品やサービスに対する誤解や認識不足が原因で怒りや不満が向けられる状況が多い傾向が明らかになりました。対応策として最も実施していることは「話を聞き続けた」(63%)、2位が「毅然と対応」(55%)、3位が「謝り続けた」(47%)という結果に。これらはその場のトラブルを鎮静化させる手段として機能していますが、根本的な解決には至らない場合も少なくありません。
TOPIC 3 カスハラへの必要な措置とは
■必要な措置は、「法律・条例による防止」が1位(68%)
個別の対応策ではなく、“ルール”や“仕組みづくり”など、社会全体や組織としての措置重要性を
挙げる傾向に
カスハラを防止するために必要な措置について尋ねたところ、「法律・条例による防止」が1位(68%)、2位は「消費者への啓蒙活動」(58%)、3位は「企業・コールセンターのマニュアルの整備」(52%)となりました。企業や組織としての対応やルールの整備を半数以上が求めていることがわかるとともに、法律や条例の整備により社会全体でハラスメントを抑止する効果の期待は大きく、消費者に対する正しい理解を促す啓蒙活動の実施も強く求められています。これらの対策は、従業員の安全と安心を確保する上で重要な課題となっています。
総括
今回の調査結果を通じて、従業員が業務中に受けたカスタマーハラスメントの深刻さを再認識しました。特に、「暴言・怒声」が最も多く、カスハラ被害を経験した約9割の社員が精神疾患やストレスなどを抱え身体的にネガティブな影響を受けていることが判明しました。また、これらのハラスメントの多くが、お客様の「無理な要求」や「勘違い」が起因していることも明らかになりました。現状では、従業員が毅然と対応したり、話を聞き続けることでその場を乗り切る努力をしており、法律や条例による規制や消費者への啓蒙活動の必要性を強く感じています。
2024年度は、“カスハラ”が流行語大賞にノミネートされるなど、世間で多く取り沙汰される年となりました。特に、東京都がカスタマーハラスメント防止条例を2025年4月より施行決定したことで話題となり、各企業がカスタマーハラスメントの対応方針を公表することが非常に増えました。一方、各企業はカスハラに対する姿勢の公表にとどまっていることや、これからカスタマーハラスメント防止条例が施行されることで、また新たな課題が生まれることも予測されます。TMJでは、従業員が安心して働ける環境を整えるべく、業界団体方針を踏まえたカスタマーハラスメント防止策を講じる予定であるとともに、社内のルール整備とケアの強化を図っていく所存です。また、業界全体における意識改革を推進することで、従業員が心身ともに健康で働ける社会の実現に寄与してまいります。
回答者の属性情報
<担当業界の割合>
TMJカスハラ研修について
TMJでは、2024年8月より「カスタマーハラスメント対策研修」の提供を開始しました。本研修は当社クライアント企業をはじめ、多くの企業からのご要望を受けてプログラム化されました。“従業員と顧客エンゲージメントを両立させる”をコンセプトに、企業や組織としてカスタマーハラスメントへいかに対応すべきか、その考え方や具体的な対策について学ぶことができます。
研修テキストの一例
カスハラの特徴として従来の1対1によるクレーム対応の範疇を超え、企業や組織としての対策やルールが求められていることが挙げられます。そのため、本研修では、対象者を企業または組織運営の中でカスハラ対策を策定・実施する方向けとしています。
研修の詳細 https://www.tmj.jp/customer-harassment/
株式会社TMJについて
<業務改善ノート> ( https://www.tmj.jp/column/ )
BPO業界における豊富な顧客応対実績から生まれたコミュニケーションのノウハウや
効率化のポイントなど、仕事の改善に役立つさまざまな情報をお届けします。
<株式会社TMJ 会社概要> ( https://www.tmj.jp/ )
TMJは、株式会社福武書店(現・株式会社ベネッセコーポレーション)のインハウスコールセンターより独立分社化する形で1992年に設立。世界でも例のない継続型の会員制事業で培った生産管理、品質管理のノウハウを活かし、多種多様なクライアント企業のコールセンターの設計・運営から、調査・分析、人材派遣、人材育成などのサービスを提供しています。2017年には、セコム株式会社の100%子会社となり、より強固で安全性の高いグループネットワークを活かし、クライアントビジネスの成功をサポートします。