自由が丘北口に8月21日、仏パリ発のヴィエノワズリー専門店「RITUEL par Christophe Vasseur(リチュエル パー クリストフ・ヴァスール)」(目黒区自由が丘2)がオープンした。
「パリ随一のブーランジェ」クリストフ・ヴァスールさん、手にしているのは秋限定で提供を予定している国産リンゴを使った「ショソン・ア・ラ・ポム・フレッシュ」
店名にもなっているクリストフ・ヴァスールさんはパリのブーランジェリー「デュ・パン・エ・デジデ」店主。仏ガイドブック「ゴー・エ・ミヨ」2008年度ベストブーランジェを受賞し、多くの星付きレストランにパンを提供する「パリ随一のブーランジェ」として知られている。
同店はヴァスールさんが自店以外で初めて手掛けるヴィエノワズリー(=クロワッサンや菓子パン)専門店。独学で学んだという本国フランスでも希少な伝統的な製パン技術で、国産オーガニック素材を主原料に使ったメニューをラインアップする。
場所は学園通り沿い、旧「NEXT」跡地に同日オープンしたアパレルブランド「IENA」の旗艦店「メゾン イエナ」の1階部分。店内は同店の看板メニュー「エスカルゴ」をイメージしてデザインしたという曲線風のユニークな空間で、ベンチに座ってガラス越しに焼き上げまでの工程を見ることができ、客の五感に訴える劇場型の売り場に仕上げた。
同店では本国で人気のメニューを提供するが、ヴァスールさんによれば「レシピと技術は同じでも素材はローカル(日本国産)を追求し、コンセプトとテーマは変えている」という。唯一、バターは本国で愛用しているものを使うが、「いいものが見つけられれば、こちらも日本製に変えていきたい」とも。
パリでは定番の「クロワッサン」(450円)は表面に溶け出たバターの熱がオーブンの熱でキャラメリゼされ、ザクザクとした力強い歯応えと口の中でほどける生地の食感が特長。「素材の味を引き出すための手作業と時間は惜しまない」といい、一般的なクロワッサン生地と比べて6倍近い約30時間をかけて発酵させ、本国でも希少な石床式オーブンで焼き上げる。
クロワッサン生地に自家製カスタードクリームや旬のフルーツ、ナッツなどを組み合わせて焼き上げたカタツムリ形の「エスカルゴ」(全5種類、690~790円)、仏オーガニックチョコレート・KAOKAのショコラバーを2本巻き込んだ「ショコラティン」(490円)、グラニュー糖を混ぜ込んだ生地にカスタードを敷いてスティック状にした「ル・サクリスタン」(640円)、オレンジブラッサムウォーターが香る四角いオリジナル菓子「ニフレット」(5ピース=530円)をラインアップする。
日本出店について、ヴァスールさんは「こだわりを維持するためにこれまで一つの店だけを守ってきたが、情熱があり勤勉なスタッフに巡り会えたのが出店の決め手となった。日本は美しいものや伝統、文化を大切にする国だけに、私の作るヴィエノワズリーもきっと理解いただけると信じている」と期待を込める。今後は季節ごとに「日本限定エスカルゴ」なども展開していくという。
営業時間は10時~20時(土曜・日曜・祝日は9時30分~)。