尾山台商店街振興組合(世田谷区尾山台3)で6月5日、店舗の特徴を光で演出し商店街の活性化を図るイルミネーションイベント「温個灯新(おんこちしん)2012」が始まった。
風を利用し、1階・2階の明かりに揺らぎを生み出す「エビスクリーニング」の展示
地元の東京都市大学(玉堤1)工学部建築学科2年生137人と、商店街の協力店舗44店が共同で作り上げた同イベント。同学科の小林茂雄教授による指導の下、制作したあんどんや光のディスプレーを店頭や店内に展示。日没後に作品を点灯し、商店街利用者や近隣住民に買い物や回遊を楽しんでもらうのが狙い。
イルミ点灯時間中は既設の街路灯を消灯し、「周辺環境の特徴を生かした『夜の街の景観』」を提案する。小林教授が考える街路灯とは、「単に明かりを目立たせることよりも、道沿いの建物やその中にいる人の気配や様子を、光を通して感じてもらえるもの」だという。
制作にあたり、学生たちは4月から担当店舗の店主から街や店への思いなどをヒアリングする作業を始め、各店の個性が表現された作品を作り上げた。
参加した総菜販売店「こすげ」店頭には、「家庭の味 20年の感謝」と名付けられたあんどん2基が置かれている。長年同店に通う常連客を影絵で表現し、店と客とのつながりに感謝する「ありがとう」の文字も入れた。「お客さまの様子が浮き上がるように表れ、とてもすてきなあんどんが出来上がった」と店主の小菅栄子さんはほほ笑む。
今年10月閉店予定の「星とうふ店」では、店舗を美術館に見立ててこれまでの歴史を伝える展示「光を届ける星豆腐」が見られる。中でも目を引くのが、店頭に置かれたベンチ。そこに人がいるかのような人型の光を当てることで「人が集まりやすい空間」をイメージしたという。
「エビスクリーニング」のディスプレー作品「変わりゆく灯り」は、1階店舗と2階の窓を使った大型展示。風の動きを利用して光の揺らぎを作り出した。
「街路灯を消すことで全体が多少暗く感じられるだろうが、少しの光をデザインすることで省エネかつ安心できる街路を作ることはできる。光の奥にある温かみを使って街の人の思いを伝えることで、みんながつながる街をつくっていければ」と小林教授。
開催時間は16時~21時(点灯開始は19時ごろ)。今月10日まで。