駒沢公園通り・等々力小学校脇交差点近くに10月15日、Bean to Barのチョコレート工房「xocol(ショコル)」(世田谷区深沢5、TEL 03-6432-2265)がオープンした。
2007年ごろからアメリカで注目を集めているチョコレート製造「Bean to Bar」。チョコレートは製菓用に加工されたクーベルチュールチョコレートで作るのが一般的だが、Bean to Barとは原料となるカカオ豆の自家焙煎(ばいせん)から一貫して手作りで製造するのが特徴。日本国内でも現在、いくつかのBean to Barによるチョコレートブランドがある。
店主の君島香奈子さんが同工房を手掛けるきっかけとなったのが、数年前に旅行したフィリピンで出合ったチョコレートドリンク。チョコレートの原料・カカオマスをつぶしたもので香りもよく、帰国後に現地の味を再現できないかと材料販売店などを調べるうちにBean to Bar製法に興味を持ち、独学でチョコレート作りを開始。その味が好評だったことから自らチョコレートブランドを立ち上げた。
君島さんのこだわりは、カカオ豆の粉砕に独自改良した日本製の「石臼」を使っている点。工房内で自家焙煎したパプアニューギニア産カカオ豆をゆっくりとひいて微粒化させていく。レシピはイタリア・シチリア島に伝わる「モディカチョコレート」の製法をベースに香料やレシチンなどの添加物は一切使わず、カカオの香りと溶けずに残った砂糖の粒の食感が楽しめる素朴な味に仕上げている。
商品は、古代アステカやマヤをイメージしたというコイン型チョコレート「美しい鳥」(カカオ70%、87%=480円~)、古典的製法の板チョコ「Blackbird」(同=300円~)、ナッツやシード、スパイス、ハーブなどが入った角型チョコ「流星群」(5種類=各220円)、ギモーヴ、ナッツの色が鮮やかなチョコ「サラミ型」(50グラム=750円~)、カカオ豆を粗く砕いたカカオニブの糖衣菓子「原石」(580円)。
約7坪の同店舗は工房スペースがメーンだが、テークアウトで提供するカカオドリンク「ショコラトル」(380円)、日替わりの割れチョコ「ロック&ショコル」(30グラム=450円~)なども販売。全て手作りにこだわるため、いずれの商品も販売数は限られている。
「油脂を追加せずに作るので、カカオ豆と砂糖だけの濃厚な味わいとさっぱりとした後味になる」と君島さん。ワインに似たタンニンやコーヒーの酸味も感じられることから、それらをたしなむ男性客からも好評だという。
そのほか、スペシャルオーダーも受け付けており、アレルギーに悩む人やイベント向けにオリジナルチョコレートを注文する客が増えているという。「目指しているのは『古くて新しい感覚のチョコレート』。今後は中南米のチョコレートを使ったモレソースのような、食材としてのカカオを意識した『ごはん系カカオ商品』も手掛けていきたい」とも。
営業時間は14時~19時。営業日は店頭とホームページで確認できる。