インドを中心に世界各地の民族衣装や染織品を紹介するギャラリー「Khadi岩立(カデイいわたて)」(目黒区自由が丘1、TEL 03-3718-2461)は、「北米ナバホのブランケットと開拓時代のキルト」展を開催している。
同ギャラリーは、民族染織品収集家・岩立広子さんが1985年に開設。1970年より毎年インド各地の村々を巡って収集した民族衣装や染織物などを一般に公開しており、そうしたインド全域にわたるテキスタイル・コレクションは、昨年出版した著書「インド大地の布」(求龍堂)でも紹介している。
今回展示するのは、アメリカ先住民・ナバホ族による毛織物、19世紀アメリカ開拓時代にヨーロッパからの移住者たちが作ったパッチワークキルトなど約20点。岩立さん自ら北アメリカ・サンタフェなどを訪ね、現地の骨董店やミュージアムショップを回って手に入れたという。
いずれのテキスタイルも、主に衣服や防寒具など日常生活に必要な実用品として作られているが、色鮮やかなインディアンの砂絵を思わせる柄、四角い図形を組み合わせて火を木で囲むログキャビンに見立てたキルト柄など興味深いデザインが見られる。岩立さんは「これらの簡明なデザインは今見ても新しくモダンで、まさに『用の美』。人間に永遠のなつかしさを感じさせる魅力もある」と話す。
中でも物のない貧しい開拓時代に作られた「フレンドシップキルト」は、トルコ赤の色合いの更紗の残り布を接ぎ合わせ、友情の証として製作者たちのサインや年代「1845」などがペンで書かれている。「愛する家族や友人が寒い冬を乗り越えられるようにと、厳しい暮らしの中で限られた布を大事にして作っているのがわかる」(岩立さん)。現代のテキスタイルの原点を感じさせる作品がそろう。
同ギャラリーは、現代インドの手織りや手染めの布、手工芸品などを扱うショップも併設している。営業日は、金曜・土曜のみ。営業時間は11時~18時。3月1日まで。