写真家・高木康行さんによる写真展「BLR: Brooklyn Lot Recordings(ブルックリン・ロット・レコーディングス)」が12月10日、東横線・学芸大学駅の書店「BOOK AND SONS(ブック・アンド・サンズ)」(目黒区鷹番2、TEL 03-6451-0845)で始まる。
写真展「BLR: Brooklyn Lot Recordings」作品から
高木さんは東京生まれ。ニューヨーク・ブルックリンの美術学校、プラット・インスティテュートでメディアアートを学ぶ。卒業後、ニューヨークの現像所勤務を経て独立。アート写真、商業写真のフィールドでキャリアを重ね、現在は東京を拠点に「The New York Times」「Le Monde」などの海外メディア、英ライフスタイルマガジン「Wallpaper*」などに寄稿するほか、アートディレクター、映像ディレクターとしても作品を手がけるなど国内外で活動する。
同展は、高木さんが10年にわたって撮り続けた「キャリアの原点」ともいえる写真シリーズ「Brooklyn Lot Recordings」の写真集出版を記念したもの。高木さんがニューヨーク・ブルックリンに移住した1993(平成5)年から10年にわたって撮り続けた「ブルックリンの空地の記録」作品約30点を展示する。
空地について、高木さんは「一見すると誰もいない、使われていないスペースのようにも見えるが、実際のところ、僕のような人間やホームレス、動物たちも好きなように出入りしている。そこには自由がある。植物も野生に戻り、すごい早さで木の高さにまで成長する。しかし、そんな空間はある日突然、消えてしまう」と話す。
その理由の一つが、2001(平成13)年に発生したアメリカ同時多発テロ事件。マンハッタンからの移住者が増え、富裕層による下層住宅地の高級化がブルックリンに根本的な変化をもたらした。「写真が場所の本質と精神を将来の世代のために保存するという驚くべき能力を持っていることをその時、痛感した」と言う。
「たまたま通りかかっても、そこに以前何があったかを思い出すことすらできない。たとえ思い出したとしても、空地の記憶など、自分の空想の中の出来事のように思えてくる。僕が捉えたかった美は、そこに一瞬の間だけ現れ、やがて消えた」とも。
開催時間は12時~19時。水曜定休。入場無料。今月26日まで。