目黒通りにある「ダイエー碑文谷店」本館(目黒区碑文谷4、TEL 03-3710-1111)が5月5日21時で営業を終了した。
最後の一人となった来店客を見送る福西店長(写真左)と従業員たち
1975(昭和50)年の開業以来、「ダイエー」を象徴する旗艦店として41年にわたって営業を続けてきた同店。ピーク時には全国初となるスーパー単店舗の年間売上高200億円を達成し、都心にある大型店であることからメディアにも度々登場するスーパーとしても知られていた。
最終日は21時で全ての営業を終了。閉店を前に多くの客が集まり、21時すぎ、福西陵生(しのぶ)店長が店内であいさつを行った。「本日は大勢の皆さまにお集まりいただきありがとうございます。歴代の店長、従業員を代表して心から感謝申し上げます」と言った後に深々と頭を下げると、来店客から大きな拍手が起こった。
店長として一番印象に残っているのは、昨年4月に「開業40周年を迎えたとき」と言い、地元のトキワ松学園吹奏楽部と目黒門前はやし保存会の演奏が周年事業に花を添えたことなど「地域の皆さんに愛され、支えられ、育てられたことに感謝した」と振り返った。
最後に「私たち碑文谷店においては、これは閉店ではございません。一時休業でございます」と強調したうえで、「地域のお客さまの多様なニーズにお応えし続けていく店であるために、新たにイオンとして再出発いたします。これまでお客さまと積み重ねてきた歴史を新しいイオンの店にも引き継ぎ、この冬、皆さまに来店いただけることを従業員一同、心よりお待ち申し上げております」と結んだ。あいさつを終えると、福西店長と従業員らが通路の両端に立ち、「ありがとうございました」「またのご来店をお待ちしております」と声を掛けながら最後の来店客を見送った。
ほぼ開業当初から利用しているという60代の女性は「子どもたちが小さなころは、家族そろってここに買い物に来るのが週末の楽しみだった。最近は週1回程度の利用だったが、慣れ親しんだダイエーの名前が看板から無くなるのはやはり寂しい」と振り返った。
今後について、「これまでの『衣食住』という一般的な区分けで商品を提供するのではなく、例えば一つの生活シーンを切り取ったような売り場の展開も検討している」とイオンリテール広報担当者。具体的な内容は未定ながら、「地域のお客さまの声を参考に『碑文谷』という立地とニーズに合ったライフスタイルと、ネットにはないリアル店舗ならではの買い物の充実感を提案できる店作りを目指していきたい」と話す。