9月6日・7日に開かれる自由が丘熊野神社(目黒区自由が丘1)例大祭を前に、本番に向けて「目黒ばやし」の稽古の音色が聞こえ、祭り気分も高まりつつある。
目黒ばやしは江戸の祭りばやしの本流ともいわれる「神田ばやし」の流れをくみ、そのリズムや旋律の基本を今も忠実に伝承している地域民俗芸能。その歴史的価値から、目黒区指定無形民俗文化財に指定されている。
演奏形態は、小太鼓(こだいこ)の「シラベ」2人、大太鼓(おおだいこ)の「オオドウ」1人、篠笛(しのぶえ)の「トンビ」1人、鉦(かね)の「ヨスケ」1人の計5人構成。
曲目は「破矢(はや)」「宮昇殿(みやしょうでん)」「鎌倉」「国固(くにがため)」など約8曲で、全曲通しで25分~30分の演奏時間となる。これらの楽曲には一切楽譜がないといい、代々の師匠から受け継がれてきた「口伝」で練習を重ねるのも目黒ばやしの大きな特徴だ。
目黒ばやしの保持団体の一つで、自由が丘熊野神社を中心とした「目黒ばやし自緑(じりょく)保存会」は現在、地元の10 ~70代までの会員16人で活動。週2回の定期練習を行い、同祭参加や「目黒ばやし講演会」などの演奏会を開いている。
毎年、地元をはじめ関東一円からもみこし担ぎ手の友好団体が集まってぎわいを見せる同祭。山車に乗った同会メンバーの演奏で、凛とした祭ばやしの音色を自由が丘の街中に響かせる。
小・中学生による「目黒ばやし子ども教室」の指導など次世代の育成にも力を入れる同会の栗山祐司会長は「目黒独特の郷土色を持つ目黒ばやしをこれからも継承すべく、地域の文化を支える心を子どもたちに伝えていきたい」と期待を込める。