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尾山台小学校で「和食給食」-和食料理人による献立開発・食育講座

子どもたちのために和食給食を手掛けた「日本料理 雄」店主の佐藤雄一さん(写真中央)

子どもたちのために和食給食を手掛けた「日本料理 雄」店主の佐藤雄一さん(写真中央)

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 世田谷区立尾山台小学校で10月20日、小・中学校の学校栄養職員と和食料理人がタッグを組んで子どもたちに「和食」の魅力を伝えるイベント「和食給食応援団」が開かれた。

(写真)尾山台小学校で出された「和食給食」はこちら

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 昨年度始まった農水省の和食推進事業の一環で、本年度は全国18校の小・中学校で実施する。日本料理店「賛否両論」(渋谷区)店主の笠原将弘さんほか全国各地の和食料理人が担当校を訪問し、地域に応じた食材なども使いながら、学校給食にふさわしい和食献立を開発して子どもたちに提供する。

 本年度1校目に選ばれた同校では「日本料理 雄」(同)店主の佐藤雄一さんを講師に迎え、「興味喚起-食べる意欲を刺激する」をテーマに五感で季節を感じさせる食材を使った彩り豊かな和食給食が出された。

 この日の献立は、主食「白ご飯」、主菜「秋じゃけの彩りあんかけ」、副菜「じゃがいものごまあえ」、「くりの茶わん蒸し」、牛乳の全5品。和食の基本である「だし」をベースに、あんかけのあんには食用菊を使うなど食材の色や食感、季節感にこだわった内容に。

 当日9時前、佐藤さんが来校。さっそく白衣に着替え、学校栄養職員や調理員とミーティング後、調理監督として給食調理室に入った。食感を生かすよう一工夫した食材の下処理や、具と卵液を一人前ずつ容器に注ぐ茶わん蒸しの工程など和食ならではの手間をかけた調理も見られ、佐藤さんも時間直前まで調理員と作業に奮闘した。

 12時10分、各教室に給食が運ばれ、給食当番による配膳が始まった。4年生の教室では「茶わん蒸しを食べるのは初めて」「菊の花は食べられるのですか?」など和食になじみの少ない子もいたが、口にしたとたん「おいしい」「これからは和食の給食をもっと食べたい」との声が聞かれ、残った献立のお代わりに元気よく手が挙がっていた。

 教室を回り、子どもたちから直接感想を聞いた佐藤さんは「予想以上に和食がおいしかったと言ってくれる子どもたちが多く、うれしかった」と手応えを感じた様子。ただ、「今のお母さんたちは、和食は難しいと作らない人も多い。お母さんたちが一番作らない献立で、今回一番おいしいと子どもたちが言ってくれたのが『茶わん蒸し』だった」とも。

 給食終了後、4年生を対象に佐藤さんによる食育授業も行われた。和食ならではのだしの種類や旬の考え方などを説明し、子どもたちからの質問にも答えた。「なぜ料理人になったのですか?」との質問には「ごはんを食べた人が『ありがとう』と言ってくれる、人が喜ぶ仕事だったから」と佐藤さん。「料理は1+1が5になることもあり、その正解がないところが楽しい」「食べられることにありがとうと感謝の気持ちを持とう」などの話に、料理や料理人に興味を覚えた子どもたちも多かったようだ。

 イベントを終えた佐藤さんは「例えば最近は白いご飯を食べる機会が減っていると聞くが、ご飯はおかずによって味が変わり、その楽しみ方や食べ方も魅力の一つ。まずはシンプルに『和食はおいしいんだよ』と子どもたちに伝えていきたい」と期待を込める。

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