![「左手のピアニスト」として日本とヨーロッパで演奏活動を続ける舘野泉さん
写真©武藤章](https://images.keizai.biz/jiyugaoka_keizai/headline/1470372442_photo.jpg)
自由が丘出身・在住ピアニストの舘野泉さんが11月10日、東京オペラシティ コンサートホール(新宿区)で「舘野泉 傘寿記念コンサート」を開く。
舘野さんは1936(昭和11)年、目黒区自由が丘生まれ。1960年に東京芸術大学音楽学部ピアノ科を首席で卒業後、1964年からはフィンランド・ヘルシンキを拠点に世界各地で演奏活動を行ってきた。2002年の公演中に脳出血で倒れて右半身不随になり、リハビリを経て2004年、左手だけでピアノ曲を弾く「左手のピアニスト」として復活した。
舘野さんが同コンサート当日に80歳の誕生日を迎えることから「80歳、最初の挑戦」と銘打ち、国内外の作曲家による「左手のためのピアノ協奏曲」全4曲を演奏する。舘野さんによれば、「一晩に4つのピアノ協奏曲を弾くことはそれほど大変なことだとは思っていないが、左手の協奏曲を4つ選び、それを準備勉強していく作業には筆舌に尽くしがたい難しさがある」という。
第1次世界大戦で右腕を失ったオーストリアのピアニスト、パウル・ヴィトゲンシュタインの委嘱で作曲されたというラヴェル「左手のためのピアノ協奏曲」。舘野さんは「若いころから大好きだった作品で、左手のピアニストとなって幾度も演奏の機会があったが、昨年新たな手応えを感じた。80歳にして新しいラヴェル!」と意気込む。
ヒンデミット「管弦楽付きピアノ音楽作品29 (左手のためのピアノ協奏曲)」はラヴェル作品と同じく、パウル・ヴィトゲンシュタインが委嘱して作曲されたもの。激しい曲想を持つ作品で、舘野さんが日本の各オーケストラに共演を打診しても「手を挙げる団体はなかった」という。今回は舘野さんが「最も信頼する指揮者」だという高関健さんの指揮で、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団と共演する。
そのほか、フィンランドのシベリウスアカデミーで舘野さんにピアノを師事していたというウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のバイオリン奏者で作曲家のルネ・シュタールによる「オーケストラと左手のためのファンタスティック・ダンス(舘野泉へ捧げる)」、事故や病気で右手が使えない音楽家のために本格的な曲を増やしたいと舘野さんが設立した「舘野泉 左手の文庫(募金)」から生まれた池辺晋一郎「ピアノ協奏曲第3番『西風に寄せて~左手のために』(舘野泉へ捧げる)」を演奏する。
開演時間は19時。料金はS席=9,000円、A席=7,500円、B席=4,500円。25歳までの学生を対象に一般料金の半額で鑑賞できる「学生席」なども用意する。問い合わせはジャパン・アーツまで。