写真家・梁丞佑(ヤン・スンウー)さんの写真展「人間模様」が4月27日、東横線・学芸大学駅のグラフィックデザイン系専門書店「BOOK AND SONS」(目黒区鷹番2、TEL 03-6451-0845)で始まる。
梁さんは1966(昭和41)年、韓国生まれ。1996年に来日し、日本写真芸術専門学校へ入学。東京工芸大学芸術学部写真学科卒業、同大学院芸術学研究科メディアアート専攻博士前期課程修了。2017年、東京・新宿歌舞伎町の姿を捉えた写真集「新宿迷子」で、「写真界の直木賞」と呼ばれる「土門拳賞」を外国人写真家として初めて受賞した。現在はフリーの写真家として活動する。
「人間の欲望が見え隠れする街が歌舞伎町。その景色が好きで好きでたまらない」という梁さんは、1998年から歌舞伎町の写真を撮り始め、今も街に通って写真を撮り続けている。泥酔にケンカ、ヤクザや水商売の女性などを撮ったそれらの作品は、強烈な印象を残す。
全てがモノクロ写真で構成されていた「新宿迷子」に対し、同展は「比較的最近撮影したカラー作品」から選んだ約30点を展示する。同展担当者は「モノクロ写真でのニュートラルな印象が薄れ、街の体温や息づかいなど、まるで現場で目撃しているかのようによりリアルに伝わってくる。新宿・歌舞伎町というだけで身構える人もいるかもしれないが、偏見も差別も、何のフィルターも通さず撮影された梁さんの写真は、生々しくもどこか温かい人間臭さが漂う」と話す。
2004年、当時東京都知事だった石原慎太郎さんによって「歌舞伎町浄化作戦」と呼ばれる大規模な改革が始まり、不法就労や違法風俗店の摘発などの施策が取られた。梁さんは「歌舞伎町は安全で誰もが楽しめる『クリーンでクールな街』に変わり始め、かつての街は姿を消しつつある。だが、誰かの『居場所』である事は今も変わらない。どこか温かい寂しさを漂わせるこの街のそんなところが、魅力が半減した今でも変わらず私の足を向かわせる」とも。
開催時間は12時~19時。水曜定休。5月12日まで。初日には梁さんを迎えてオープニングパーティーを開催する(17時~19時30分、参加無料)。