俳優・黒柳徹子さんのベストセラー「窓ぎわのトットちゃん」の舞台となった母校・トモエ学園の記念碑が商業施設「JIYUGAOKA de aone(自由が丘 デュ アオーネ)」に再設置され、11月24日に記念碑除幕式が行われた。
記念碑の場所は「JIYUGAOKA de aone」入り口付近の植栽部分にある
旧記念碑は、トモエ学園の前身「自由ケ丘学園」とトモエ学園の同窓生らが1988(昭和63)年に両小学校の跡地に建てたが、跡地に出店していたスーパーマーケット「ピーコックストア自由が丘店」の店舗建て替えに伴い、地元の自由が丘商店街振興組合が一時保管していた。今年10月、イオンモール(千葉市)が同所に「JIYUGAOKA de aone」を開業し、施設入り口付近の植栽部分に再び設置することになった。
除幕式には、35年前の除幕式に続いて黒柳さんが出席。ひもを引き、久しぶりに記念碑と対面した黒柳さんは「今から80年ほど前、私はここにある小学校に通っていた。校庭は土で、プールもあって、電車の教室がたくさんある、子どもたちの夢の学校がここにあった」と説明。同校は1945(昭和20)年の東京大空襲で消失したが、「記念碑を作ってもらい、トモエ学園がここにあったことを遺(のこ)すことができて良かった」と笑顔を見せた。
黒柳さんにとって「人生で一番幸せだったのはこの学校に通っていた時」と言い、トモエ学園の小林宗作校長が「君は本当は良い子なんだよ」と会う度に言ってくれたこと、午前中で授業が終わると午後から近くの九品仏・浄真寺へ毎日のように通い、その道のりで先生からいろいろなことを教わったことなどを話し、当時を懐かしんだ。
学校跡地に立ったJIYUGAOKA de aoneを見た黒柳さんは「建物が近代的になっていてびっくり」と驚きつつも、「今日の空の色は、昔私たちが騒いでいた時と同じ。(学校の)追い出しのベルが鳴るまで遊んでいた、そういう空。いい空で良かった」とも。すると、除幕式に出席した同窓生の桂るり子さんの姿を見つけ、「あら、るりちゃん! あなた私の一年下なのよ」と話しかけると、「よく覚えてるわねぇ」と桂さんが応え、しばし思い出を語り合った。
学校の由来などが刻まれた碑文(プレート)部分は、旧記念碑で使われていたものを復活させた。2年前の移転作業時、このプレートと一体化したステンレス製ボックスが見つかり、黒柳さん直筆の手紙などが収められたタイムカプセルであることが判明。今年4月、同窓生と自由が丘商店街振興組合が開封したところ、内部に水が侵入し、収めた品々は損傷が激しかったという。
振興組合によると、辛うじて原形をとどめていた同校校歌の楽譜や自由ケ丘学園の創設者・手塚岸衛とトモエ学園・小林宗作の写真などを全てデジタルデータ化した上で、新たに黒柳さんがトモエ学園について語った動画データなどと共にクラウド上で管理。その管理データにアクセスできるQRコードを、今回再設置した記念碑内に埋め込んだという。