世界各地の染織品を集めた個人美術館「岩立フォークテキスタイルミュージアム」(目黒区自由が丘1、TEL 03-3718-2461)で現在、「第2回展 刺繍~接ぎ合わせから始まったテキスタイル~」が開催されている。
昨年11月に開館した同館は、民族染織研究家の岩立広子さんが40年以上にわたってアジアをメーンに世界各地を訪ね、収集してきた民族衣装などの染織品約7,500点を所蔵。約2~3カ月間隔で展示品を入れ替えて公開している。
同展では、古代の人々が動物の皮を接ぎ合わせて衣服や靴を作ったことに始まる「刺しゅう」にスポットを当て、刺しゅうが盛んな北西インドやパキスタン、アフガニスタンなど世界各地のテキスタイル約110点を展示する。
岩立さんによれば、刺しゅうが盛んな地域は不思議と遊牧民の世界に集中しており、それぞれの部族のシンボルや魔除け、豊穣(ほうじょう)を意味する文様を表すために刺しゅうが使われるようになったという。展示室には、婚礼の持参品として絹糸や銀糸を使って贅(ぜい)を尽くした礼装用衣装や壁掛けのほか、女性が家族のために農閑期や家事の合間にこつこつと刺した敷布なども並ぶ。
家庭から生まれた刺しゅう品には、使用済みの衣装を再利用して作り上げたものも見られ、「インドやバングラディシュで作られた刺し子刺しゅうの敷布『カンタ』は、使い古しの白のサリーや腰巻きを4~5枚重ねて縫いしめて、大きな樹木や鳥など見近な素材を刺しゅうしたもの。リサイクルの枠を超えた豊かな創造性がある」と岩立さん。
期間中、岩立さんがスライドを交えて展示品の解説を行う講演会(3月27日・4月1日の14時~16時)、トルコ・ルーマニア刺しゅうが専門で杉野服飾大学非常勤講師の川口素子さんによる講演会(4月17日14時~16時)を予定。参加費は1,500円(入館料含む)で、各日定員30人。3月9日~12日に電話で受け付ける。
開館時間は10時~17時(入館は16時30分まで)。日曜~水曜休館。入館料は300円。同展は5月1日まで。