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「自由が丘スイーツ物語」出版-自由が丘から洋菓子の歴史追う

「この本は自由が丘という『街』の話であると同時に、『私たちの食文化の歴史』としても読んでもらえたら」と阿古真理さん(写真)

「この本は自由が丘という『街』の話であると同時に、『私たちの食文化の歴史』としても読んでもらえたら」と阿古真理さん(写真)

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 ノンフィクションライターで生活史研究家の阿古真理(あこまり)さんが、自由が丘の街を通して洋菓子の歴史を追った単行本「自由が丘スイーツ物語 ケーキで人を幸せにする街」(NTT出版)が10月18日、出版された。

食文化の現代史としても興味深い「自由が丘スイーツ物語」表紙

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 2000年代から「スイーツの街」として全国的に知られるようになった自由が丘。日本洋菓子の草分け的老舗店から人気パティシエによる新興店まで、それぞれの「作り手の顔が見える」個性的な店が集積している。

 同書は、そうした自由が丘の街に日本の洋菓子の近代史を知る上で重要な店がいくつも存在することに気付いた阿古さんが、昭和の初めに生まれた街の歴史に洋菓子の歴史を重ね合わせ、街や食の背後にある日本の消費文化の発展を伝える内容になっている。

 阿古さんは1968(昭和43)年兵庫県生まれ。神戸女学院大学文学部を卒業後、広告制作会社勤務を経てフリーに。著書「うちのご飯の60年」(筑摩書房)では、綿密な取材を通して親子三代から見えてくる日本の食卓の変遷をリアルに描き出した。

 昨年夏からリサーチを始め、自由が丘エリアでケーキを扱うスイーツ店はほとんど巡ったという阿古さん。インタビュー中心で構成された「自由が丘スイーツ 店の物語」の章は、今年55年の歴史に幕を下ろした「自由が丘風月堂」をはじめ、「モンブラン」「ダロワイヨ自由が丘店」「モンサンクレール」「自由が丘スイーツフォレスト」など新旧洋菓子店11店の歴史を取り上げた。

 「自由が丘の歴史とケーキの歴史には、先人の遺伝子を受け継いで発展させてきたという共通点がある。人が変わり表面的な変化はあっても、その遺伝子は変わらずに受け継がれていると思う」と阿古さん。

 スイーツの街・自由が丘の今後については、「自由が丘は基本的に『女性の街』だが、取材した店の中には男性客が多いところもあり、若い世代の育メンたちも気軽に行けるような店が増えそうな予感がする。自由が丘から次の流行が発信されることに期待したい」という。

 四六判、256ページ。価格は1,890円。

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