著名人が送った「48年前の丑年の年賀状」-奥沢の美術館で公開

画家・宮本三郎が1961年丑年に受け取った年賀状の一部。味わいを感じさせる手描きのものから洗練されたデザインのものまで個性豊かな年賀状がそろう

画家・宮本三郎が1961年丑年に受け取った年賀状の一部。味わいを感じさせる手描きのものから洗練されたデザインのものまで個性豊かな年賀状がそろう

  • 0

  •  

 世田谷美術館分館 宮本三郎記念美術館(世田谷区奥沢5、TEL 03-5483-3836)で現在、特別展示「48年前の年賀状」が開催されている。

[広告]

 同展示は、現在同館で開催中の「画家の書棚にみる 昭和アート・ブック史」展の一環として企画されたもの。画家・宮本三郎(1905~1974)が48年前の丑(うし)年に美術家、評論家、文化人から受け取った年賀状約200枚を展示する。

 同館は、宮本三郎の遺族から引き継いだ膨大な絵画作品をはじめ、1万冊にも及ぶ蔵書や書簡による「宮本三郎文庫」を所有しており、今回の年賀状は「画家の書棚にみる-」展開催準備中に発見されたものだという。

 同展担当で世田谷美術館学芸員の高嶋雄一郎さんは「大量の年賀状の中からちょうど丑年のものも発見することができたので、このタイミングを逃したらこれらが日の目を見るのは12年後になってしまうと思い、今回展示を決めた」と話す。

 宮本三郎は、大佛次郎や石坂洋次郎などの大衆小説や女性誌、美術書、美術雑誌など多数の装丁を手掛ける売れっ子画家だったことから、年賀状の送り主にはインテリアデザイナーの剣持勇、女優の山田五十鈴、画家の鴨居玲など当時の著名人たちの名前が見られる。

 「当時のはがきは手描きのイラストや文字が非常に多く、温かみがある。また画一的な雰囲気も全くなく、どれもが本当に独創的。多くの美術家、評論家、文化人からの年賀状が含まれているが、地理的に近い場所に住む異分野の著名人からもはがきが届くなど、今日よりも緊密な関係をうかがうことができる」(高嶋さん)。

 現在開催中の「画家の書棚にみる 昭和アート・ブック史」は、絵を見て画家のことを知る展覧会ではなく、画家の蔵書を見ることで宮本三郎の想像力の源泉をたどろうと企画されたもの。テーマ別に約300冊の蔵書と絵画で構成されている。「これらすべてが宮本の蔵書だったことは驚がくの一言に尽きるが、その豊かさをぜひ体感していただきたい」(同)。

 「画家の書棚にみる-」展では、2月中旬より順次関連企画を開催。古書店による展示や装丁ワークショップなどを予定している。

 開館時間は10時~18時。「48年前の年賀状」展示は今月12日まで、観覧無料。「画家の書棚にみる-」展は3月22日まで、観覧料は一般200円。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース