「本棚」を模した壁面インスタレーション展-学芸大学のギャラリーで

「whity」(2008年) 施井泰平
素材:ミクストメディア courtesy of the artist & YUKARI ART CONTEMPORARY

「whity」(2008年) 施井泰平 素材:ミクストメディア courtesy of the artist & YUKARI ART CONTEMPORARY

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 学芸大学駅東口エリアにあるギャラリー「YUKARI ART CONTEMPORARY」(目黒区鷹番2、TEL 03-3712-1383)で8月23日より、「施井泰平『Binoculars』展」が開催される。

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 若手現代美術家として注目される施井泰平さんは1977年生まれ。「インターネットの時代におけるアートのあり方」をコンセプトに、ウェブプロジェクトや美術制作を行っている。中でも文庫本の背表紙を加工して平面上に敷き詰めた壁面インスタレーション「本棚」シリーズは、建築家の安藤忠雄さんが作品を購入したことで注目され、昨年ニューヨークのトライベッカにオープンしたカフェ「Tokyo Bar」にも同シリーズ作品が収められ話題を集めている。

 同展では、大小の「本棚」シリーズをはじめ壁、鏡、たくさんの稲藁を使ったインスタレーションを中心に展示予定。最新作の一つ「whity」は、高さ225センチ×横239センチと同シリーズ作品の中では最も大作で、約2,500冊~3,000冊の文庫本背表紙が使われているという。

 施井さんは、同シリーズが生まれた経緯について「インターネット上で展開した作品をギャラリーや美術館で展示する際に違和感を覚え、いくつかの手法を試したがその違和感は拭えなかった。そこで、もしかするとその違和感そのものが今の時代を象徴するものになるのではと思い、『本棚』シリーズを作り始めた」と話す。

 文庫本の本体ではなく背表紙だけを加工するという手法については、「本の本質は中身にあり、物質的な要素は必ずしも必要ではない。本来的には必要のないはずのカバーだが、カバーがないだけで古本としての価値も激減する。『コンセプチュアル・アート』と『本』の類似点、いわばその矛盾点とも言える部分が『インターネットの時代のアート』の違和感の部分を喚起すると思い、素材に選んだ。カバーしか使わない理由もそこにある」(施井さん)とも。

 2つの別々の視点を合わせて1つのリアリティーを作る、というイメージから「双眼鏡」の意味を持つ同展名を付けた。「双眼鏡をのぞくかのごとく、インターネット上の世界と実世界という2つの世界をのぞく現代社会の違和感、または面白さを喚起できるような展示になれば」(同ギャラリー)。

 営業時間は、水曜~金曜=11時~19時、土曜=11時~20時。最終日は17時まで。日曜~火曜休廊。9月20日まで。

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