自由が丘南口エリアにあるカフェギャラリー「るなん」(目黒区自由が丘1、TEL 03-3724-1785)で、結城幸司さんと平田篤史さんの作品展「アイヌ工芸2人展 PART3」が開催されている。
同展は、札幌在住で版画家の結城さんと横浜在住で造形作家の平田さんの二人が、アイヌ文化活動のプロジェクトをきっかけに知り合い、3年前にスタートしたもの。
結城さんは、自分のルーツであるアイヌ文化を後世へ伝えたいとアーティスト集団「アイヌ・アート・プロジェクト」を主宰。今回の作品のモチーフ「動物神」について、結城さんは「以前は人間を題材にしていたが、アイヌ文化の伝統の深さを知るにつれてアイヌの神話に登場する動物神への思いが深くなってきた」と話す。アイヌ民族に伝わる叙事詩・ユーカラをイメージした版画作品は、エゾシカなどをモダンな作風で表現している。
横浜生まれの平田さんは、縄文をテーマにした陶芸とアイヌ伝統の木彫り工芸を出品。平田さんによれば「縄文は北海道からの文化の流れを汲んでいてルーツは同じ」という。元々は縄文を作品テーマにしていたが、アイヌ文化に興味を持ったのは、近くに住んでいたアイヌ出身の老人と知り合ってその文化に親しんだのがきっかけ。「本来はアイヌの若者へ伝承される多くの文化を、代わりに私が預かった。私なりにそれを伝えていきたい」(平田さん)と思いを寄せる。
結城さんの作品は、約15点の版画(12,000円~)をメーンに、詩画集(1,000円)やポストカード(4枚=500円)のほか、輪をくぐらせたように見える「鎖彫り」でエゾシカの角を彫ったペンダント(5,000円~)など。
平田さんの作品は、縄文やアイヌ文様を用いたマグカップなどの約30点の陶器類(1,500円~)、クルミ材などを使った木彫りのトレイ(1,000円~)など。アイヌ出身の老人から教わったという鹿笛やナイフなど貴重な木彫り作品もそろう。
そのほかアイヌの民族楽器で、一年草の皮を乾燥させたバグパイプに似た低音が特徴の「ヘニュード」(30,000円~)も展示販売する。ヘニュードの演奏家でもあるマーキー・ジョモラさんが手作りで製作したもので、「ホラ貝と同じような吹き方で、あの世とこの世をつなぐ役割を持っている」(マーキーさん)という。
「この作品展がひとつの『窓』となって現在のアイヌ文化を垣間見てもらい、そこから興味を持ってもらえれば」(結城さん)
営業時間は12時~20時。今月20日まで。