駒澤大学(世田谷区駒沢1)キャンパスで一般向けに開講している「駒沢坐禅(ざぜん)教室」が好評を集めている。主催は「shojin-project」。
座禅中は監督役の「直堂」が堂内を回り、希望者には「警策」で肩を打つ
shojin-projectは、曹洞(そうとう)宗総合研究センター(港区)教化研修部に所属する研修生が、対外的な布教活動を行う際の名称。メンバーは35歳以下・20代を中心とした若手僧侶で構成されており、現在は12人の僧侶が仏教・禅・福祉などの学習を重ね、布教に特化したさまざまな活動を行っている。
今から約40年前に同センターの若手僧侶によって始まったとされる同教室は、同大キャンパス・禅研究館内にある「坐禅堂」で月3回開講。150人が同時に座れる本格的な環境の中で、誰でも無料で座禅を体験できる。
参加者ははじめに合掌や叉手(しゃしゅ)と呼ばれる手の作法、座禅堂への入退出方法、共に座禅を組む両隣や向かいの人へのあいさつ、座禅用クッション「坐蒲(ざふ)」の扱い、足や手の組み方といった作法を一通り学んでから座禅に入る。
堂内ではそれぞれ目の前の壁に向かって座禅を組み、止静鐘(しじょうしょう)と呼ばれる鐘3回の合図で開始。研修生の声掛けに合わせて呼吸を整えていく。キャンパスの学生たちの声が遠くに聞こえ、次第に静寂に包まれる堂内。監督者「直堂(じきどう)」役の僧侶が堂内を回り、希望者の肩を打つ「警策(きょうさく)」の音が静かに響きわたる。
平日の会社帰りに参加しているという女性は「禅の影響を受けていたスティーブ・ジョブズさんが亡くなったころ(2011年)から教室への参加者がさらに増えた」と話す。参加者の年齢層は20~80代と幅広く、平日開催時は30~40人、週末になると50~60人を超える参加者があるという。
「座禅というと敷居の高いイメージを持たれる方が多いが、自分を豊かにするための修行の機会と考えるといいのでは」と事務局長の大澤香有さん。今年の同教室では「ちょっと私を休む時間」をテーマに掲げている。「忙しい毎日を過ごしていると自分の役目を果たすことに精いっぱいになることがある。そこで座禅を通じて一度立ち止まる時間を作り、ありのままを見つめて再び立ち戻る場にしてもらえたら」との願いを込めたという。
本年度の前期開講日は6月27日・29日、7月4日・5日・27日。開講時間は木曜18時30分~19時45分、土曜10時~11時15分(初参加者は開始40分前に集合)。開講日によって写経会(納経料100円)や茶話会も開催。詳しくはホームページで確認できる。