東急東横線・大井町線自由が丘駅近くに11月23日、ユニークなデザインの舗装道路「出会いの道」が完成した。
同所を企画・整備したのは、自由が丘商店街振興組合と自由が丘のまちづくりを進める民間会社「ジェイ・スピリット」(目黒区自由が丘1)。昨年から2カ年計画で、まちの未来の姿と活性化の方向性をアート&デザインの視点から考える「自由が丘×東京芸大 アート&デザイン・プロジェクト」に取り組んでおり、今回の舗装整備もその一環。
場所は、自由が丘北口(正面口)にある野村証券自由が丘支店(同2)脇を入った全長約100メートルの私道部分。コンクリート素材のブロックをレンガ調に組み合わせる施工方法「インターロッキング」で舗装した。緑と赤の2色のブロックを線上に並べたライン(計4本)が所々交差するように延び、マンホール部分を迂回(うかい)しながら真ん中付近に設置した銘板部分で「出会う」ことから「出会いの道」と名付けた。
デザインは、清水泰博・東京芸術大学美術学部デザイン科教授が手掛けた。清水研究室は昨年から、自由が丘の街で「街への愛着を持てるアートプロジェクト」をコンセプトにしたアートパフォーマンスや社会実験などを展開している。
「出会いの道」について、清水教授は「道の両側から(線に沿って)歩いて行くと、中央付近で出会える人もいれば、出会えない人もいる。『この先で出会えれば何か良いことがある』、この道路はそんな、おみくじのような遊び心のある場所として、そして『自由が丘にしかないもの』を街のあちらこちらに配置するための一歩にできればと考えた」と話す。
ユニークなデザインを考えた理由は、もう一つある。「ここはいわゆる裏道で、違法駐輪問題も非常に大きい所。『出会いの道』のストーリーとなるラインを放置自転車で隠してはいけない、通りを利用する人に『ここには物を置いてはいけない』という気持ちが育てば、普段から人が中心の道になるのでは」と期待を寄せる。
舗装用材料を供給した太平洋プレコン工業(新宿区)の担当者によれば、「道路舗装でこうしたデザインを施すことは過去にあまりなかった」ことから、清水教授の細かいデザイン指示に対応できる職人探しに苦労したと言う。
道路に敷いたブロック「グランパムストーン」は同社製品で、舗装ベースに使った白色ブロックは国会議事堂周辺に敷かれているブロックと同じもの。「政治家の色=『白』から採用されたもので、自由が丘のクリーンな街づくりのイメージにも合うと考えて選んだ」とも。通りの名前が記載された銘板は、旧・国立競技場の聖火台を手掛けた埼玉・川口の老舗鋳物メーカーが製作した。