デッサンの名手と呼ばれた洋画家の宮本三郎を記念した「宮本三郎記念 デッサン大賞展」が現在、世田谷美術館分館 宮本三郎記念美術館(世田谷区奥沢5、TEL 03-5483-3836)で開かれている。
明治から昭和にかけて活動した洋画家・宮本三郎(1905~1974)にちなみ、「デッサン」をテーマに、宮本の出身地である石川県小松市、小松市立宮本三郎美術館らが2年に一度開催するコンクール。宮本は生前、「1枚の白紙と1本の木炭があれば、その精神が対象と一体となって、充分の活動を開始する」と述べており、線やさまざまな手法によって生み出される豊かな表現を求める場として2011(平成23)年に設立された。
5回目となる今回は、過去最高となる652人から979点の応募があり、大賞を受賞した植野大作さんの「思い出のコラージュ」ほか入賞13点、入選37点が選ばれた。審査は絵本作家・イラストレーターの荒井良二さん、画家で埼玉大学教授の小澤基弘さん、画家の町田久美さん、デザイナーの皆川明さんらが務めた。
同館担当者は「人類の長い歴史を顧みた時、一本の線は絵画表現のみならず、文学、音楽、建築など、あらゆる表現や創造の最初のステップとなっている。その一本の線を作家の心の率直な発露とみなせば、線の積み重ねや交錯は、まさに作家の葛藤や、自身が目指すイメージに近づこうとする痕跡として受けとることができる」と話し、「今を生きる作家が示した作品の数々を通じ、時代と連鎖しながら変容する新たな表現の可能性を感じ取っていただけたら」と来場を呼び掛ける。
期間中、宮本三郎作品は限定的なコーナー展示(油彩3点、水彩・素描5点)となり、宮本がベレー帽姿の自身を描いた自画像デッサンなども見ることができる。
開館時間は10時~18時(入館は17時30分まで)。観覧料は一般200円。月曜休館(2月24日は開館、25日休館)。3月15日まで。