住友商事(千代田区)、東急電鉄(渋谷区)、富士通(港区)は8月31日、東急東横線・大井町線自由が丘駅で12月からローカル5Gを用いた実証実験を開始すると発表した。
同実証実験は、総務省が「令和3年度課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」に選定したもの。ローカル5Gは、自治体や企業などが主体となって構築できるエリア限定の高速通信規格で、AI(人工知能)などの先端技術を通信面で支えるシステムとして幅広い業種で使われ始めている。
日本の鉄道業界では近年、少子高齢化に伴う人手不足や熟練技術者の減少が進んでいることから、作業現場における自動化や省力化、安全性の向上などに必要なインフラとしてローカル5Gの活用が期待されているという。
今回の実証実験は、自由が丘駅に構築するローカル5G環境下で実施。具体的には、列車や駅のホームに設置した高精細4Kカメラで撮影した映像データをローカル5Gで伝送し、それをAIで解析する。現状では作業員が目視で行っている線路巡視業務、車両ドア閉扉合図業務に適用し、業務の効率化・高度化を目指す。
3社は「本実証実験において鉄道業界全体への将来的な展開を想定し、汎用(はんよう)性の高いモデルの構築を目指す。また、安全性の維持や向上と業務の効率化を実現する新たなデジタルソリューションを創出し、鉄道業界のさまざまな課題解決に貢献していく」としている。
実証実験期間は12月から来年3月まで。