プレスリリース

「「生きづらさ」はなんとかなるのか -人権とケアの哲学原理を暮らしに活かす方法-」を開催しました

リリース発行企業:一般社団法人眞山舎

情報提供:

 一般社団法人眞山舎(所在地: 東京都国立市、代表理事: 土屋一登、以下「眞山舎」)は、令和6(2024)年8月21日(水)、東京都国立市内で「「生きづらさ」はなんとかなるのか -人権とケアの哲学原理を暮らしに活かす方法-」を開催しました。当企画は、「「生きづらさ」の当事者が、「生きやすい暮らし」を営むためにはどうしたら良いのか」という問いを軸に、哲学原理やローカルNPOの実践から考える試みです。当日は、国立市内外から30名以上の申し込みがあり、24名の方が参加しました。


開催概要


日時: 令和6(2024)年8月21日(水)19:30-21:00
参加者数: 24名
内容:
(1) 講義「人権の哲学原理」(金泰明)
(2) 講義「ケアの哲学原理」(山竹伸さん)
(3) 事例紹介「「生きづらさ」の当事者による「生きやすい暮らしづくり」の実践と「哲学原理」」(土屋一登)
会場: 国立市公民館3階講座室
参加費: 無料

当日の内容


 当企画では、登壇者3名の個人的な生きづらさやエピソードなども交え、哲学原理やローカルNPOの実践について、ポイントを絞って紹介しました。
 はじめに、「人権の哲学原理」及び「ケアの哲学原理」の2つの講義では、現象学の視点から人権やケアの哲学について講義が行われました。

 「人権の哲学原理」では、在日コリアンである金泰明(眞山舎・理事)が、自身の青年時代の体験談や「在日韓国人政治犯を救援する家族・僑胞の会」の事務局長として人権活動に関わっていた際のエピソード(1970年代~80年代に)を紹介。

 また、その体験を踏まえ、「人権を哲学する」ことや「自由の相互承認」を説明し、現代を生きるわたしたちにとって、「わたし」という存在が「個人 / 市民」という一枚のコインであることにも言及しました。
 「ケアの哲学原理」では、山竹伸二さんが、こども時代に経験した生きづらさが原体験となり、現象学の思考法によって心理療法やケアの哲学的原理を研究することになったと紹介。

 義務としてケアを捉えるのではなく、人間性の本質に向き合うことを強調されました。その際、人間が、「自由と承認を求め、不安を避けようとしながら、自己を了解しつつ、可能性をめがけて生きている」ということを踏まえて、ケアをする / ケアされることを理解することが大切だと説明し、「相互ケア社会」の可能性について語られました。
 当企画の最後には、一般社団法人眞山舎・代表理事である土屋一登が登壇。自身の抑圧体験や双極性障害(躁うつ病)当事者としての生きづらさ、また、それらの体験によって、自身が抑圧的環境に対する拒否反応(=自由であることへの望み)があることを参加者に共有。さらに、先の講師2名が紹介した哲学原理を「「個人」としてのわたし(=安心できる生活)」や「「市民」としてのわたし(=願い / 思いの実現)」として解釈していることを説明しました。

 続けて、「(社会が)こうだったらいいな」という「願い / 思い」をカタチにする行為が、「わたし」という存在から生まれる創造的営み(=「自己表現」)であることや、その効果的な手段としての「ローカルNPO」という概念を紹介しました。このとき、NPOの体系的資金調達の概念とされる「ファンドレイジング」を「ローカルNPO」という文脈で再解釈・再定義し、「協力的資源共有」という言葉に変換していることにも言及しました。 
 講演の最後には、「ローカルNPO」の実践を通じた6段階の「自己表現プロセス(=発想、思考、選択、決定、行動、振り返り)」について言及し、「ローカルNPO」の実践が、「生きづらさ」の当事者の「生きやすい暮らし」や「生きやすいまちづくり」につながる可能性を示唆しました。



参加者の声


 当企画には、「生きづらさ」の当事者だけでなく、国立市内外からソーシャルワーカー、保育士、市議会議員、こども食堂の主宰者などさまざまな背景の方々が参加し、以下のような声をいただいています。

「「生きづらさ」というのは、解決できるかもしれないと少し希望をもつことができました」
「もっと詳しく学びたいと思った珍しい講座でした」
「なぜ?を追求することが許される社会にしたい」
「またこのような講座があったら参加したい」
「お互いをケアしあえる、あたたかい社会へと向かっていきたい」

登壇者情報


金 泰明(人権の哲学者 / 一般社団法人眞山舎・理事 / 大阪公立大学人権問題研究センター・客員研究員)

 大阪生まれの在日韓国人二世。70年代から90年代に在日韓国人による二つの人権NGOを立ちあげ専従スタッフとして活動。『在日韓国人政治犯を救援する家族・僑胞の会』(事務局長、1977年-1990年)、『在日韓国民主人権協議会』(共同代表、1991年-1995年)。その後、東京とイギリスの大学院で「人権と共生」の哲学を研究。20年間、大阪経済法科大学法学部で教鞭を執る。定年退職後、「哲学塾」を立ち上げ、東京と大阪で「哲学対話」や人権と共生の哲学研究会の活動を行っている。「人権を哲学する」がモットー。「人権の哲学」は「自分を大切にすること」から始まる。現在取り組んでいる研究テーマは「普遍共生論」(認知症の人の共生の哲学原理)。代表的な著書に2006年『共生社会のための二つの人権論』(トランスビュー)、2008年『欲望としての他者救済』(NHKブックス)、2014年『人権は二つの顔をもつ』(トランスビュー)、2022年『共生社会のためのことばの教育―自由・幸福・対話・市民性』(稲垣みどり/細川英雄/金泰明/杉本篤史共著、明石書店)ほか論文多数。国際学博士(明治学院大学大学院国際学研究科) / MA(人権学・英国エセックス大学大学院人権理論実践コース) / 元大阪経済法科大学法学部教授

山竹 伸二さん(ケアの哲学者 / 批評家 / 著述家)

 1965年、広島県生まれ。学術系出版社の編集者を経て、現在、心理学・哲学の分野で著述家・評論家として活動。同志社大学・赤ちゃん学研究センター嘱託研究員。桜美林大学非常勤講師。専門は現象学、精神分析など。現代社会における心の病と、心理療法の共通原理の解明を主要な研究テーマとしており、近年は、看護や保育、介護などのケアの領域における哲学的原理を考察し、子育て論、承認論、共感論など、多方面で執筆、講演を続けている。代表的な著書に2011年『「認められたい」の正体』(講談社現代新書)、2014年『子育ての哲学』(ちくま新書)、2021年『ひとはなぜ「認められたい」のか』(ちくま新書)、 2022年に『共感の正体』(河出書房)、2023年『心理療法の精神史』(創元社)、2024年『無意識の正体』(河出書房)ほか。

土屋 一登(一般社団法人眞山舎・代表理事)

 2012年、南カリフォルニア大学を卒業。2022年に「『わたし』が幸せを感じられる暮し」をテーマとする一般社団法人眞山舎を設立。「リカバリーの学校@くにたち」や「哲学塾『ひらく舎』」などの対話的な学び場づくりを行う。2024年には人権・ケアの哲学原理を学ぶ「より善く生きる哲学の学校」をスタート。その他、NPOのファンドレイジングを支える対話型相談や自治体及びNPOにローカルNPO向けのファンドレイジング講座・研修も行っている。認定ファンドレイザー、双極性障害当事者

関連情報


 一般社団法人眞山舎では、令和6(2024)年9月7日(土)から、当企画に登壇した山竹伸二さんや金泰明を講師に迎え、第一期「より善く生きる哲学の学校」を東京都国立市内で開催します。人権の哲学原理やケアの哲学原理をより広く、より深く学び合い、「わたしの幸せ」と「よい社会」をつなげる、連続の講座です(各コース10回・有料)。基本対面ですが、オンラインの聴講生コースも設けていますので、全国からご参加可能です。また、数回ほど、講師2名が質問等にお応えするオフィスアワー(オンライン)も実施予定ですので、ご検討ください。詳細は、以下のURLからご覧いただけます。
https://yoriyoku-phil.peatix.com/view


団体情報


(1)団体名: 一般社団法人眞山舎
(2)設立: 令和4(2022)年11月7日
(3)住所: 東京都国立市富?見台1丁目7番地1号 富?見台第一団地1号棟102号室
(4)代表理事: 土屋 一登
(5)目的: 個人が幸せを感じられる暮らしを主たるテーマに掲げ、地域に暮らす個人による幸福の増進に係る主体的活動及び地域社会における個人の幸福を増進する仕組み構築・基盤整備
(6)団体ホームページ: https://www.sanayamaya.org

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