新型コロナウイルス対応などに尽力する地元医療従事者に感謝とエールを届けようと、自由が丘商店街振興組合が6月24日、玉川医師会と目黒医師会の一部にクラフトビール「丘ばちビール」計6000本を贈呈した。
丘ばちビールは、同組合が環境活動の一環で2009(平成21)年から取り組む都市養蜂「丘ばちプロジェクト」で採取した、自由が丘産の天然蜂蜜を使った商品。昨年10月に始まった政府の商店街支援策「Go To 商店街」に同プロジェクト事業が採択されたことから、養蜂活動の趣旨に賛同する地元参加店で今年1月下旬の提供開始に向け準備を進めていた。
風向きが変わったのは今年1月。新型コロナウイルス感染症拡大に伴う2度目の緊急事態宣言が1都3県で発出されたことを受け、「Go To 商店街」の事業は中止に。以降、緊急事態宣言の延期と再発出が続いたことから、同組合の中山雄次郎事務長は「宣言の解除時期が見通せず、ビールの発送や参加店での提供もしばらく見合わせていた。しかしクラフトビールは賞味期限が短く、環境活動の産物であるはずの丘ばちビールに廃棄の危機が迫りつつあった」と話す。
そこで同組合が考えたのが今回の「寄贈」。「『Go To 商店街』事業としての当初の規定に合わなくなったことからGo To 商店街事務局に粘り強く交渉を重ねた結果、『医療従事者場等への寄贈』という形で、ようやく認められた」と言い、同組合のエリアに該当する玉川医師会、目黒医師会(自由が丘エリアのみ)に声を掛けた。
丘ばちビールを受け取った玉川医師会の阿部晃一事務長は「都心のビル屋上で養蜂が行われていることはニュースなどで聞いていたが、こんなに身近な場所で行われていることに驚いた」と話し、養蜂活動にも取り組む中山事務長の説明に熱心に耳を傾けた。ビールの試飲も行い、「よくビールを飲むが、それらと比べてとてもおいしい。自然環境を大切に守りたいと自由が丘のビル屋上で飼育するミツバチの蜂蜜が使われている、その背景に大きなインパクトを受けた」とも。
同組合には、ビールを受け取った両医師会に所属するクリニック・病院の医師や看護師らから「ワクチン接種を早く終わらせられるよう日々尽力している中、思いがけないプレゼントを頂いてうれしい」「厳しい状況が続いているが、貴重な丘ばちビールを飲んでこれからも頑張っていきたい」などの声が届いているという。
中山事務長は「今回の丘ばちビール贈呈はコロナ禍で頑張る医療従者の皆さんへのエールでもあり、地元の環境活動を知っていただくきっかけにもなった。結果として、今はホッとしている」と笑顔を見せる。