見る・遊ぶ 買う

自由が丘の老舗古書店がリニューアル、本のある空間コーディネート提案

白と黒を基調としたシックな内外装にリニューアルした自由が丘の古書店「西村文生堂」

白と黒を基調としたシックな内外装にリニューアルした自由が丘の古書店「西村文生堂」

  • 0

  •  

 自由が丘北口にある古書店「西村文生堂(にしむらぶんせいどう)」(目黒区自由が丘2、TEL 03-3717-6843)がリニューアルオープンして約2カ月が過ぎた。

古書店「西村文生堂」店主の西村康樹さん

[広告]

 現店主・西村康樹さんの祖父にあたる先々代が1948(昭和23)年創業した同店。大正から昭和初期に東京の有力書店だった旧「巌松堂」出身で、書物に関する豊富な知識や人脈を生かして出店。その後、現在の古書専門店に転換し、幅広い品ぞろえで城南エリアに住む作家や大学教授など多くの文化人に愛されてきた。

 現店主で3代目の西村さんが同店を引き継いだのは今から約20年前。ネット時代が到来し、「ブックオフ」などの新古書店チェーンが登場したことで、従来の古書店が苦境に陥っていたころだった。「世の中で必要とされる古書店とは何か、それを模索する日々だった」と西村さん。そこで目を付けたのが「あるテーマで本を集める」手法だった。

 世相や文化を色濃く反映した日本の娯楽雑誌や戦後日本でGHQによる検閲が行われていた時期に出版された書籍など、自身が興味を持った出版物を「本屋出身」ならではのネットワークで幅広く収集。その独自の編集能力がテレビ局や出版社などから高く評価され、仕事の依頼を多く受けるようになったという。

 総在庫3万冊を超える同店で現在、主力事業となっているのが「本のある空間を提案する」コーディネート。自由が丘エリアをはじめ国内に展開する雑貨やアパレルショップ、カフェなどのディスプレー用洋書から、オフィス専門書や保育園に設置する児童書、CMやドラマで使われる小道具用の本まで、それぞれのイメージや予算に合わせた「コンセプト型」「ディスプレー型」コーディネートを年間600件以上手掛けている。

 「例えば『サーフィンに関する本を50冊欲しい』といった特定ジャンルの要望も多く、最近は個人宅でもインテリアの一部としてディスプレー用の書籍を注文するお客さまが増えている」という。今回リニューアルした約10坪の店舗は「ショールーム」のイメージで書棚の作り方や、写真や絵などのアートと組み合わせたコーディネートの楽しみ方などを具体的に見せていく。

 「コンセプチュアルなブックディレクターというよりは、こんな本が欲しいというさまざまなお客さまの要望に応える『ブックスタイリスト』として、死ぬまで古本屋でありたい」と西村さん。今後はインテリア用古書に特化したブランド「10VISUAL BOOKS」も展開する。

 営業時間は10時30分~19時。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース