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自由が丘出身「左手のピアニスト」舘野泉さん、85歳のリサイタルへ

昨年秋には演奏生活60周年、今年11月には85歳を迎える「左手のピアニスト」舘野泉さん 
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昨年秋には演奏生活60周年、今年11月には85歳を迎える「左手のピアニスト」舘野泉さん Photo © SONOE

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 自由が丘出身・在住ピアニストの舘野泉さんが10月22日、東京文化会館・小ホール(台東区)で「舘野泉 ピアノ・リサイタル『彼のための音楽を彼が弾くー舘野泉にささげられた作品による』」を開く。

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 舘野さんは1936(昭和11)年、目黒区自由が丘生まれ。1960(昭和35)年に東京芸術大学音楽学部ピアノ科を首席で卒業後、1964(昭和39)年からは日本とフィンランド・ヘルシンキを拠点に世界各地で演奏活動を行ってきた。2002(平成14)年の公演中に脳出血で倒れ、右半身が不自由になるも「しなやかにその運命を受け止めた」舘野さんは、2年間のリハビリを経て、左手だけでピアノ曲を弾く「左手のピアニスト」として再起。以降、独自のジャンルを切り開いてきた。

 「左手のピアニスト」として活動する以前から、毎年のリサイタルプログラムで常に新しい作品に果敢に挑戦してきたという舘野さん。今年は、作曲家・吉松隆さんの作品「アイノラ抒情曲集」「タピオラ幻景」、日本を代表する作曲家で故・林光による唯一の左手作品「花の図鑑・前奏曲集」のほか、左手しか使えないピアニストのための作品充実を図るために設立された「左手の文庫」委託作品から、現代フィンランドを代表する作曲家カレヴィ・アホさんの「静寂の渦」、京都出身の気鋭の作曲家・平野一郎さんの「鬼の生活」を初演する。

 プログラムについて、舘野さんは「前半は『静寂』をテーマにした。吉松隆作品はフィンランドの森の透明な優しさと静けさ、カレヴィ・アホの新作『静寂の渦』は原初の宇宙に広がるブラックホールのような巨大な渦。後半の林光作品『花の図鑑』は野の花々に寄せて歌う反戦や官能、人の心のうずき。平野一郎の『鬼の生活』は13曲から成る、鬼たちの一生懸命な生活画帳」と話す。

 昨年秋には演奏生活60周年、今年11月には85歳を迎え、現在も国内外で年に50回ほど演奏会を行う。今回の公演を主催するジャパン・アーツ(渋谷区)によれば「身体的ハンデ、年齢、全てを超越した舘野独自の音楽に、いつも多くのお客さまから『勇気付けられる』との声を頂く」という。

 2010年ごろからは日本での活動が多くなったことから、生まれ育った自由が丘の家に拠点を置くようになった舘野さんは「自由が丘は私が85年間生きてきた心の故郷。世界のどこにいても、いつも思いが帰っていくところ」と言い、「今回の曲目の中にも、その心は脈を打ち続けています。どうぞ聴きにいらしてください」と来場を呼び掛ける。

 19時開演。料金は、S席=6,000円、A席=5,000円、学生席=3,000円。問い合わせはジャパン・アーツまで。

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